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更新日:2025年12月25日
父母が離婚した後も、こどもの利益を確保することを目的として、令和6年5月17日に「民法等の一部を改正する法律」が成立しました。
この法律では、父母が婚姻関係の有無に関わらず、こどもを養育する責務を負うことが明確化されており、令和8年4月1日に施行されます。この民法改正のポイントは以下の通りです。
このルール(新民法第817条の12等)は、親がこどもに対して負う基本的な責任と、親同士の協力義務を定めています。
【ルールに違反する行為の例】
下記のような行為は、上記のルールに違反しているとされる場合があります。
ただし、身体的・精神的DVや虐待等から逃げるなど、正当な理由がある場合は、このルールに違反しません。
これまで、離婚すると親権は父母のどちらか一人だけしかもてませんでした。
新しいルールでは、次の2つの方法から選べるようになります。
単独親権:父母のどちらか一方だけが親権を持つ(これまでのルールと同じ)
共同親権:父母の両方が親権を持つ
話し合いで決める:父母の話し合い(協議)で、共同親権にするか、単独親権にするか決めます。
裁判所が決める:話し合いで決まらない場合や、親権を共同にすることでこどもに悪い影響があると裁判所が判断した場合(例:DVや虐待がある場合など)は、裁判所がこどもの利益の観点から、どちらにするかを決めます。
父母が共同親権を持つことになった場合、「すべてのことを二人で決めないといけないの?」と心配になるかもしれません。
法務省は、単独で行使できる行為や事項として次のように示しています。
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日常の行為 (単独でOK) |
監護(こどもの世話)や教育に関する日常的なこと(例:今日の夕食、遊びに行く場所、日々の勉強)は、共同親権でも一人で決めることができます。 |
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特定の重要な事項(共同で決定) |
こどもの進学、大きな手術など、こどもの将来に大きく関わることは、二人で話し合って決めることが原則です。 |
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急迫の事情 (単独でOK) |
身体的・精神的DVや虐待からの緊急避難や、急病で緊急の手術が必要な場合など、急いで対応しないとこどもの利益に悪影響がある場合は、一人で判断して行動することができます。 |
その他、具体的な内容(学校行事への参加、学校教育に関すること等)については、法務省作成のQ&A形式の解説資料(民法編)をご覧ください。
養育費とは、離婚などで親が別々に暮らすことになっても、こどもが生活したり勉強したりするために必要な費用です。養育費を払わない人から、もっと確実にお金を受け取れるようにするための仕組みが強化されています。
離婚のときに養育費の取り決めがなかった場合でも、こどもを主に育てている親は、相手に対し、離婚の日から一定期間、すぐに養育費を請求できます。この請求できる金額は、こどもが最低限の生活を送るために必要な標準的な費用を勘案して法務省令で定められます。
養育費や婚姻費用の分担、財産分与の話し合いや裁判の際に、裁判所は親に対して収入や財産の状況に関する情報を開示するよう命令できるようになりました。
養育費などに関する債権について、債務者が財産を開示しない場合に、裁判所が市区町村などに対し、債務者の給与などの情報提供を命じる特例が設けられます。これにより、情報開示手続きと差し押さえ手続きがより連携して進められ、養育費を早く、確実に受け取れるようになります。
新しい法律では、親子交流が「こどもの幸せ」のために安全に行われるよう、ルールが見直されました。
「こどもの利益のために特に必要だ」と裁判所が認めれば、祖父母などの親族と交流することを定めることができます。婚姻中別居の場合も含め、こどもと離れて暮らす親だけでなく、祖父母などの親族とも、話し合いで交流のルールを決められるようになりました。
親子交流を始める際、特に過去にDVや虐待があった場合などは、安全性を確認しながら交流を始めるための仕組みが整えられました。試行的実施とは、裁判所での手続き中に、こどもの心身に問題がないことを確認した上で、試験的に交流を実施してみることを促す仕組みです。
これまで、結婚したまま別居している場合(婚姻中別居)の親子交流については、法律のルールが不明確でした。民法改正により、結婚していても別居している場合、こどもと離れて暮らす親は、こどもの利益のために、もう一方の親と交流に関する必要な事項を話し合って定めることが明確になりました(新民法第817条の13)
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