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諸国めしや カーネル食堂 野見山さん

福岡市から飯塚へ。新しい人の流れと出会いに満ちた食堂。
ひとつのお店の存在が起点となり、人の流れとシーンが生まれ、そこに共感する人々やお店が集い、通りやまち全体が「いい感じ」になっていく現象がある。(栃木・黒磯の「1988 CAFE SHOZO<外部リンク>」や東京・幡ヶ谷の「PADDLERS COFFEE<外部リンク>」など)
飯塚でまさにそんな流れを生み出しているのが、「諸国めしや カーネル食堂<外部リンク>」だ。2021年3月にオープンし、筑豊各地をはじめ、福岡市内からだけでも年間累計1000人以上が訪れている。

ポップアップショップや展示企画も盛んに行ったりと、お店自体の魅力は語り尽くせないので割愛するとして(ぜひInstagram<外部リンク>を覗いてみてください)
店主・野見山龍太さん(本稿では愛称の[カーネルさん]と以下呼称)がお店をひらくまでと、飯塚のまちをどのように捉えているかについて、話を伺った。
飯塚でお店をやることを見据えて動いた20代。
飯塚の市街地エリアで生まれ育ったカーネルさん。ハタチの頃に「35歳になったら、父のカメラ屋があるところでお店をやろう」と先に期限を決め、20代はそこに向けて、多くの経験を積んだそう。

「ここでお店をやるとしたら、何がやれるか。やりたいか。20代前半では漠然と幅広くやりたいことがあった状態から、インテリアの仕事、コーヒーショップ、音楽イベントなどひとつずつ実現していく過程で、明確になっていきました。最終的には、全部詰め込めばいいや!と思い至って、このお店ができました」
大学進学時から福岡市内へ生活の拠点を移し、スターバックスコーヒー→ウィークス<外部リンク>(※)→STEREO COFFEE<外部リンク>(コーヒーショップ)に勤めるなかで、同時並行でクラブでの出張料理『カーネル深夜食堂』を2013年から2ヶ月に1度のペースで企画。
(※)「ウィークス」…福岡・薬院で「B・B・B POTTERS<外部リンク>」、天神で「LT LOTTO AND TRES」などを展開するテーブル雑貨・インテリアショップなどを展開する企業
この出張料理が口コミで話題を呼び、クラブ以外での出店も増加。多いときは月に3回(ほぼ毎週末)出店していたときもあったそう。
アジアへの旅を経て、間借りで天神・警固で週末出店。
STEREO COFFEEを退職後、タイ・ラオス・ベトナム・カンボジアを巡る3ヶ月の旅へでたカーネルさん。「現地で実際に食べた料理をアレンジしてメニュー化する」スタイルの根幹とも言える旅を経て、帰国後は11年ぶりに飯塚へ生活の拠点を移した。
「帰国したタイミングではまだお店をやる予定もなくて、食材をよく使わせてもらっている『アジアンマルシェ<外部リンク>』の方が実際に野菜も育てていたので、自分が使う食材がどのようにできるか知りたくて、農作業を手伝わせてもらいました」
同時期に、週末は天神・警固のアパートを改装した一室で、間借り営業の「カーネル食堂」がスタート。飯塚と警固の2拠点での生活がはじまった。
「農作業の現場が筑後方面だったので、朝6時に家を出て7時に現場について、週末は警固で出店して、という日々でした。当初から2年間出店する予定だったので、前半の1年間は農業をしながら、後半の1年は飯塚のお店と両立する形で営業していました」
偶然に導かれながら、計画よりも早くお店をスタート。
カーネルさんは当初の予定だった35歳よりも約2年早く、33歳のときに飯塚でお店をオープンした。その理由は、今の物件との出会いによるところが大きかったという。
「農業の仕事が一区切りするタイミングで、何気なくいま飯塚にどんな物件があるのかと調べてみたんです。そしたら一発でここ(現在のカーネル食堂の物件)がでてきて。実家と父がやっているカメラ屋がどちらも窓からみえる、超好立地。インスタで呼びかけたらすぐに貸主さんとも繋がることができ、そこからはトントン拍子で進んでいきました」

「当時、開業資金は全くといっていいほどなくて。朝から農作業をして、夕方からは飯塚のスーパーの総菜売り場でバイトして資金を貯める生活をしつつ。それでも限界があるので、自治体の開業補助金を調べて申し込んだら無事に活用できて、大助かりでした。元手がない状態でも、開業できるんだ!と新たな発見でした」
とはいえ、早朝から農作業、夕方から夜までスーパーでバイト、週末は間借り営業とハードな日々。カーネルさん自身も「今やれと言われたら、できないかも」と当時を振り返る。

「開店のタイミングは偶然によるところが大きいし、お金もないので見切り発車ではありました。ただ、料理とコーヒーの技術と知識があって、作りたい空間のプランとデザイン・施工を頼みたい人も決まってて。理想のお店をつくるための、準備はできていたのかなと思います」

2拠点生活を経てわかる、飯塚の利便性。
つい最近(取材は2022年2月)まで、平日は飯塚、週末は天神への出店と2拠点を行き来する生活を続けていたカーネルさん。飯塚市の利便性についても語ってくれた。
「家からバスセンターまで徒歩圏内というのもありますが、15分おきに天神行きのバスがでてて、それに乗りさえすれば直通で福岡市街地へ行けるのはすごく便利です。福岡市の郊外エリアに住むよりも、通勤時間がちょっと長くなるくらいで、中心部に行くには実はアクセスがいい。福岡市内から来てくれるお客さんも『はじめてきたけど、飯塚ってこんなに近いんだね』と驚く方が多いです。山を超えるから、実際に来るまでは遠い印象があるんでしょうね」

福岡、日本各地、アジア。外の視点を持つからこそ気づく、地元の魅力。
冒頭でも触れた通り、カーネル食堂をめがけて福岡市から飯塚を訪れる人は、年間およそ1,000人以上にものぼる。飯塚を初訪問するお客さんも多いことから「できる限り飯塚の魅力に触れてほしい」と、周辺のおすすめスポットの案内も積極的に行う。
「食後にデザートの気分だと、九州で唯一のビーントゥバーチョコレート専門店の『カカオ研究所<外部リンク>』をおすすめしたり、純喫茶が好きな方には『喫茶 楡』を案内したり、そうすると『飯塚ってこんなにいいところなんだ』とこのまちを好きになってくれる人も多いです。本町商店街の『帽子のほりかわ』で掘り出し物を見つけて楽しんでくれたり、そういった姿をみると、飯塚が持つ魅力やポテンシャルを日々感じます」

「コロナ禍の状況をみつつですが、ようやく来月には2〜3週間タイに行けそうで」と声を弾ませるカーネルさん。海外だけでなく、日本各地のさまざまなローカルへも足を運ぶ。旅を通じて得た経験は、飯塚への新しい視点をもたらしている。

「最近だと、こうの湯温泉に行ったあとに倉重酒店<外部リンク>さんに寄って、クラフトビールを買うことが多いです。『UCHU BREWING<外部リンク>』っていう、あまり他で取り扱っていないクラフトビールを売ってるのが本当に有り難くて」などと「そんな楽しみ方があるのか」といった話が訪れるたびに聞けたり、「次は、もともと予定していた父のカメラ屋を継いで、どんなお店にするのか計画中です」と今後さらに楽しみな予定も。
この人がいるから、このお店があるから、このまちを訪れたい。暮らしたい。そう思える理由が、ここからさらに増えていく。飯塚に興味がある人は、まずはぜひ「カーネル食堂」を訪れてみてほしい。(営業日や時間はInstagram<外部リンク>にて)
【氏名】野見山 龍太 【出身】飯塚市(Uターン)
【PROFILE】1988年生まれ、飯塚市出身。大学卒業後に雑貨・インテリア会社、コーヒーショップで勤務。STEREO COFFEEではマネージャーとして2Fでの展示やポップアップショップも企画、運営。アジアでの旅を経て、2021年3月に飯塚・本町で「諸国めしや カーネル食堂」をオープン。







