○飯塚市男女共同参画推進条例

平成19年7月10日

飯塚市条例第35号

改正 H28―1

目次

第1章 総則(第1条―第9条)

第2章 男女共同参画推進のための基本的施策(第10条―第19条)

第3章 飯塚市男女共同参画オンブズパーソン(第20条―第28条)

第4章 苦情及び救済の申出の処理(第29条―第38条)

第5章 飯塚市男女共同参画推進委員会(第39条・第40条)

第6章 雑則(第41条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、本市における男女共同参画の推進に関し基本理念を定め、市、市民及び事業者等の責務を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項及び苦情等の申出の処理に関する事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を促進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 市民 市内に居住する者、市内に通勤する者、市内に通学する者及び市内を活動の拠点とする者をいう。

(2) 事業者等 営利非営利を問わず、市内において事業又は活動を行う民間の法人その他の団体をいう。

(3) 男女共同参画社会 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会をいう。

(4) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(5) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた個人の生活環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応に応じて当該個人に不利益を与えることをいう。

(6) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等の男女間において、個人の尊厳を侵すような身体的又は精神的な苦痛を与える暴力的行為(経済的又は社会的な側面での暴力的行為を含む。)をいう。

(男女の人権の尊重)

第3条 男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

(社会における制度又は慣行についての配慮)

第4条 男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。

(国際的協調)

第5条 男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、男女共同参画社会の形成は、国際的協調の下に行われなければならない。

(市の責務)

第6条 市は、前3条に定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進を市の主要な政策として位置づけ、男女共同参画社会の形成を促進するための施策(積極的改善措置を含む。以下「参画施策」という。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、参画施策を実施するに当たっては、市民及び事業者等の協力を得るよう努めなければならない。

3 市は、参画施策を実施するため必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(市民の責務)

第7条 市民は、男女共同参画社会の形成について理解を深め、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進を阻害する要因を除去するよう努めるとともに、市が実施する参画施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者等の責務)

第8条 事業者等は、男女共同参画社会の形成について理解を深め、その事業又は活動に関し、基本理念にのっとり、男女共同参画の推進を阻害する要因を除去するよう努めるとともに、市が実施する参画施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による差別的取扱い等の禁止)

第9条 何人も、職域、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、性別による差別的取扱いをしてはならない。

2 何人も、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。

第2章 男女共同参画推進のための基本的施策

(調査研究)

第10条 市は、参画施策の策定に必要な調査研究を行うものとする。

(啓発活動)

第11条 市は、市民及び事業者等が男女共同参画社会の形成について理解を深めるよう啓発活動を行うものとする。

(男女共同参画推進教育の充実)

第12条 市は、学校教育、社会教育、家庭教育その他の教育の分野において効果的な方策を講ずることにより、男女共同参画を推進するための教育の充実に努めるものとする。

(家庭生活における活動と他の活動の両立)

第13条 市は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるよう必要な支援を行うものとする。

(女性の労働環境改善のための支援)

第14条 派遣労働及びパートタイム労働を含む就労の場における男女格差はなお大きく、家事、育児、介護等に加え女性労働の負担が重いことにかんがみ、市は、男性の家庭責任の共有を促進するとともに、女性の労働環境の改善について必要な支援を行うものとする。

(地域団体等における男女共同参画の促進)

第15条 市は、女性が地域社会において重要な役割を果たしていることにかんがみ、地域において活動する団体、組織等の方針の立案及び決定への女性の参画を促進するため必要な支援を行うものとする。

(政策又は方針決定過程への女性の参画の促進)

第16条 市は、積極的改善措置として、次に掲げる措置を講ずるものとする。

(1) 市が行う政策の立案及び決定の過程において、女性の参画を積極的に推進すること。

(2) 事業者等が行う方針の立案及び決定の過程において、女性の参画を積極的に促進するため、当該事業者等に対し、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うこと。

(飯塚市男女共同参画プラン)

第17条 市は、参画施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項の規定に基づき、参画施策についての基本的な計画(以下「参画プラン」という。)を策定するものとする。

2 市は、参画プランを策定し、又は変更しようとするときは、第39条の飯塚市男女共同参画推進委員会の意見を聴かなければならない。

3 市は、参画プランに基づき実施された施策の状況等についての年次報告書を作成し、公表しなければならない。

(参画プラン施策の実施体制の整備)

第18条 市は、参画プランに基づく施策を実施するため必要な体制の整備に努めるものとする。

(男女共同参画の推進の拠点)

第19条 市は、飯塚市男女共同参画推進センター(飯塚市男女共同参画推進センター条例(平成18年飯塚市条例第142号)第2条に規定する施設をいう。)を、市民及び事業者等と連携して男女共同参画の推進を図る拠点として位置づける。

第3章 飯塚市男女共同参画オンブズパーソン

(オンブズパーソンの設置)

第20条 市が実施する参画施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置についての苦情を処理し、及び性別による差別的取扱いその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害(以下「人権侵害」という。)を受けた場合における被害者の救済等を図るため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により飯塚市男女共同参画オンブズパーソン(以下「オンブズパーソン」という。)を置く。

2 オンブズパーソンの定数は、2人とする。

3 オンブズパーソンは、参画施策に関し優れた識見を有し、社会的信望の厚い者のうちから、市長が委嘱する。ただし、オンブズパーソンのすべてが、男女いずれかの一方の性によって占められてはならない。

(独任制)

第21条 オンブズパーソンは、独立してその職権を行う。ただし、重要な事項については、合議を要する。

(代表オンブズパーソン)

第22条 オンブズパーソンは、互選により代表オンブズパーソンを選任する。

2 代表オンブズパーソンは、合議事項につき、オンブズパーソンを代表する。

(任期)

第23条 オンブズパーソンの任期は、3年とし、再任を妨げない。ただし、任期を通算して6年を超えることはできない。

2 補欠者の任期は、前任者の残任期間とする。

3 オンブズパーソンは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第3項第2号に規定する非常勤の特別職とする。

(責務)

第24条 オンブズパーソンは、男女共同参画社会と人権の擁護者として、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

2 オンブズパーソンは、その職務上の地位を政党又は政治的目的のために利用してはならない。

(兼職の禁止)

第25条 オンブズパーソンは、衆議院議員若しくは参議院議員、地方公共団体の議会の議員若しくは長又は政党その他の政治団体の役員と兼ねることができない。

2 オンブズパーソンは、市と取引関係のある法人その他の団体の役員又はオンブズパーソンの公平かつ適切な職務の遂行に利害関係を有する職業と兼ねることができない。

(守秘義務)

第26条 オンブズパーソンは、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。職を退いた後も同様とする。

(身分の保障)

第27条 市長は、オンブズパーソンが次の各号のいずれかに該当すると認められる場合でなければ、委嘱を解くことができない。

(1) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又は職務に堪えられない場合

(2) 職務を怠り、又は職務上の義務に違反した場合

(3) オンブズパーソンたるにふさわしくない非行があった場合

(関係機関等との連携)

第28条 オンブズパーソンは、その職務を行うに当たっては、市、県及び国の関係機関又は民間の関係団体と連携を図るよう努めなければならない。

第4章 苦情及び救済の申出の処理

(苦情及び救済の申出)

第29条 市民及び事業者等は、オンブズパーソンに対し、市が実施する参画施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策若しくは措置について、苦情の申出をすることができる。

2 何人も、市、市民又は事業者等から人権侵害を受けたときは、オンブズパーソンに対し、救済の申出をすることができる。

(オンブズパーソンの処理の対象としない事項)

第30条 前条の苦情及び救済の申出(以下「苦情等の申出」という。)が次に掲げる事項であるときは、前条の規定にかかわらず、オンブズパーソンの処理の対象としない。

(1) 判決、裁決等により確定した事案に関する事項

(2) 裁判所において係争中の事案及び行政庁において審査請求の審理中の事案に関する事項

(3) 国会又は地方公共団体の議会に対し請願が行われている事項

(4) オンブズパーソンが行った苦情等の申出の処理に関する事項

(5) 前各号に掲げるもののほか、調査することが適当でないとオンブズパーソンが認める事項

(H28―1一改)

(調査)

第31条 オンブズパーソンは、苦情等の申出があったときは、必要な調査を行うものとする。この場合において、必要と認めるときは、関係人から事情を聴取し、記録の提出を求め、又は実地調査を行うことができる。ただし、あらかじめ当該関係人に通知しなければならない。

2 市は、前項の調査を拒んではならない。

3 市民及び事業者等は、第1項の調査に協力するよう努めなければならない。

(却下)

第32条 オンブズパーソンは、苦情等の申出が第30条各号に掲げる事項に該当し、又は申出に理由がないと認めるときは、これを却下するものとする。

2 前項の場合において、オンブズパーソンは、申出人に対し、理由を付した書面で、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

(是正又は改善の勧告)

第33条 オンブズパーソンは、第29条第1項の苦情の申出があった場合において、市の施策又は措置が男女共同参画の推進を阻害するものと認めるときは、市の機関に対し、是正又は改善の措置を講ずるよう勧告(以下「是正勧告」という。)をすることができる。

2 是正勧告を受けた当該機関は、当該是正勧告を尊重しなければならない。

3 オンブズパーソンは、必要があると認めるときは、当該機関に対し、どのような措置を講じたかについての報告を期限を定めて求めることができる。

4 オンブズパーソンは、是正勧告及び前項の報告を遅滞なく苦情の申出人に通知するとともに、これを公表しなければならない。ただし、公表に当たっては、プライバシー等人権に必要な配慮がなされなければならない。

(救済勧告)

第34条 オンブズパーソンは、第29条第2項の救済の申出(市に係るものに限る。)があった場合において、市が性別による差別その他の人権侵害を行ったと認めるときは、被害を受けた者に対し、必要な助言その他の支援を行い、市の機関に対し、人権侵害を排除し、又は抑止する等の救済の措置を講ずるよう勧告(以下「救済勧告」という。)をすることができる。ただし、救済勧告は、オンブズパーソンの合議を要する。

2 救済勧告を受けた当該機関は、当該救済勧告を尊重しなければならない。

3 第1項の場合において、前条第4項の規定を準用する。

(制度改善のための意見表明)

第35条 オンブズパーソンは、苦情等の申出(市に係るものに限る。)があった場合において、法令の定め、地方公共団体の権限の制約その他正当な理由により、市の施策又は措置を直ちに是正し、又は改善することが困難であると認めるときは、制度改善のための意見表明(以下「意見表明」という。)をすることができる。ただし、意見表明は、オンブズパーソンの合議を要する。

2 前項の場合において、第33条第4項の規定を準用する。

(市以外のものによる人権侵害の救済措置)

第36条 オンブズパーソンは、第29条第2項の救済の申出(市に係るものを除く。)があり、調査の結果、必要があると認めるときは、人権侵害により被害を受けた者を救済するため必要な助言その他の支援を行うとともに、救済の申出に係る状況を是正するため、市長に報告し、市長が改善のための要請を行うよう求めることができる。

2 前項の場合において、オンブズパーソンは、救済の申出人に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。

3 オンブズパーソンは、次条第1項の要請にもかかわらず、救済の申出に係る状況が改善されていないと認めるときは、市長に対し、人権侵害に係る状況を公表するよう求めることができる。

4 第1項の規定による報告及び要請の求め並びに前項の規定による公表の求めは、オンブズパーソンの合議を要する。

(市長の要請及び公表)

第37条 市長は、前条第1項の要請を求められたときは、関係人に対し、改善のための要請を行うことができる。

2 市長は、前条第3項の規定による公表を求められたときは、人権侵害に係る状況の必要な事項について公表をすることができる。

3 前2項に規定する場合において、市長は、オンブズパーソンの求めを尊重しなければならない。

4 市長は、第2項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ当該公表に係る市民又は事業者等に意見を述べる機会を与えなければならない。

5 市長は、第1項の要請及び第2項の公表を行ったときは、オンブズパーソンに対し、遅滞なくその内容を通知しなければならない。

(自己の発意による苦情等の処理)

第38条 オンブズパーソンは、必要があると認めるときは、自己の発意に基づく事案につき、調査を行い、必要な措置を執ることができる。

2 前項の場合において、次項に定めるもののほか、第31条及び第33条から第36条までの規定を準用する。ただし、オンブズパーソンの合議を要する。

3 オンブズパーソンは、自己の発意に基づく人権侵害に係る事案につき、調査を行うときは、人権侵害により被害を受けたと認められる者の同意を得るものとする。

4 市長は、オンブズパーソンの発意に基づく事案につき、前条第1項の要請及び同条第2項の公表を行うときは、人権侵害により被害を受けたと認められる者の同意を得るものとする。

第5章 飯塚市男女共同参画推進委員会

(男女共同参画推進委員会の設置)

第39条 市は、参画プランを策定し、及び男女共同参画の推進に関する重要事項を調査審議するため、地方自治法第138条の4第3項の規定により飯塚市男女共同参画推進委員会(以下「参画推進委員会」という。)を置く。

(組織及び所掌事務)

第40条 参画推進委員会の組織及び所掌事務については、市長が規則で定める。

第6章 雑則

(委任)

第41条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年10月1日から施行する。

(準備行為)

2 この条例を施行するために必要なオンブズパーソンの委嘱その他の準備は、この条例の施行日前においても行うことができる。

(飯塚市附属機関の設置に関する条例の一部改正)

3 飯塚市附属機関の設置に関する条例(平成18年飯塚市条例第21号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(飯塚市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

4 飯塚市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(平成18年飯塚市条例第39号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成28年3月28日 条例第1号)

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

飯塚市男女共同参画推進条例

平成19年7月10日 条例第35号

(平成28年4月1日施行)

体系情報
第8編 社会福祉/第6章
沿革情報
平成19年7月10日 条例第35号
平成28年3月28日 条例第1号