○飯塚市都市景観条例
平成18年3月26日
飯塚市条例第201号
目次
前文
第1章 総則(第1条―第9条)
第2章 景観形成地区(第10条―第17条)
第3章 大規模建築物等(第18条・第19条)
第4章 都市景観重要建築物等(第20条―第23条)
第5章 緑の育成及び保全(第24条―第29条)
第6章 景観づくり協議会(第30条・第31条)
第7章 都市景観協定(第32条・第33条)
第8章 表彰及び助成(第34条―第38条)
第9章 都市景観審議会(第39条)
第10章 雑則(第40条)
附則
飯塚市は、古くから交通の要衝として、あるいは日本の産業基盤を支える地方都市として栄えてきたまちである。
本市は、緑豊かな山並みに囲まれ、その山々を源とする遠賀川が流れる、自然豊かな良好な環境を有するまちでもある。
わたしたちは、こうした歴史と自然に恵まれた飯塚のまちが、これまでの多くの人々の生活の中で積み重ね、形成されてきたまちの姿や人々のつながりを大切にして、飯塚らしい若さと活力のみなぎる快適で誇りうる都市に発展していくことを願っている。
そのために、まず身近な生活の舞台となる都市の空間を市民にとって心地よく、やさしさの感じられるものにしていくことを共通の目標にすえ、わたしたち市民自らが力をあわせ、魅力ある飯塚のまちをまもり、そだて、つくりあげていくことを決意して、飯塚市都市景観条例を制定するものである。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、飯塚市の都市景観形成に関して基本的かつ必要な事項を定めることにより、緑豊かな美しい自然に恵まれた飯塚にふさわしい個性のあるまちづくりと市民福祉の向上に資することを目的とする。
(1) 都市景観の形成 飯塚らしいまちの景観及び雰囲気をまもり、そだて、つくることをいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1項に規定する建築物をいう。
(3) 工作物 土地又は建築物に定着し、又は継続して設置される物のうち建築物及び広告物以外の物で、規則で定めるものをいう。
(4) 広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物及び専らこれを掲出する物件をいう。
(5) 建築物等 建築物及び工作物をいう。
(6) 公共施設等 道路、公園等の公共性の高い施設で市長が必要と認め、規則で定めるものをいう。
(市の責務)
第3条 市は、優れた都市景観の形成を図るため、総合的な施策を策定し、これを実施するものとする。
2 市は、前項の施策の策定及び実施に当たっては、市民の意見、要望等が十分に反映されるよう努めるものとする。
3 市は、この条例の運用に当たって、関係者の財産権その他の権利を尊重するとともに、公共事業その他の公益との調整に留意しなければならない。
(市民及び事業者の責務)
第4条 市民は、自分達が生活している環境を守り、より良くしていくことに関して主体的にかかわり、自らの立場から優れた都市景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
2 事業者は、自らの活動が地域の個性をつくりあげていく主要な構成要素であることを認識し、自らの立場から優れた都市景観の形成に寄与するよう努めなければならない。
3 市民及び事業者は、市長その他の行政の機関が実施する都市景観の整備に関する施策に協力しなければならない。
(国等に対する協力要請)
第5条 市長は、必要があると認めるときは、国若しくは他の地方公共団体又はこれらが設立した団体に対し、都市景観の整備について協力を要請するものとする。
(都市景観基本計画)
第6条 市長は、優れた都市景観を総合的かつ計画的に形成するための都市景観形成の基本的な方針を明らかにした都市景観基本計画を策定するものとする。
2 市長は、都市景観基本計画を策定しようとするときは、あらかじめ住民その他関係者の意見を聴くとともに第39条に規定する飯塚市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 市長は、都市景観基本計画を策定したときは、その内容を公表しなければならない。
4 前3項の規定は、都市景観基本計画の変更について準用する。
(先導的役割)
第7条 市長は、公共施設等の整備、建築物等の建築等を行う場合には、都市景観基本計画との整合を図るとともに、都市景観の形成に先導的役割を果たすよう努めなければならない。
(調査及び研究)
第8条 市長は、都市景観に関する調査、研究等を行うとともに、都市景観に関する資料の収集及び提供に努めるものとする。
(市民意識の高揚等)
第9条 市長は、都市景観の形成を円滑に進める上で、市民及び事業者の意識の高揚を図るため、知識の普及その他必要な措置を講じなければならない。
第2章 景観形成地区
(景観形成地区の指定)
第10条 市長は、都市景観の形成を図るために必要な地区を景観形成地区として指定することができる。
3 市長は、第1項の景観形成地区を指定したときは、その旨を告示するものとする。
4 前3項の規定は、景観形成地区の変更について準用する。
(地区景観形成計画の策定)
第11条 市長は、前条第1項の規定により景観形成地区を指定したときは、当該地区の地区景観形成計画を定めるものとする。
3 地区景観形成計画には、当該地区における都市景観の形成の基本目標、公共施設に係る都市景観の形成に関する方針、地区景観形成基準の策定のための指針その他都市景観の形成に関し必要な事項を定めるものとする。
4 地区景観形成計画は、都市景観基本計画に適合したものでなければならない。
5 市長は、地区景観形成計画を定めたときは、その内容を公表しなければならない。
(景観形成事業の実施)
第12条 市長は、地区景観形成計画を実現するため、公共施設等の整備その他都市景観の形成に関する事業の実施に努めるものとする。
(地区景観形成基準)
第13条 市長は、地区景観形成計画に基づき、当該地区ごとに地区景観形成基準を定めるものとする。
2 地区景観形成基準は、次に掲げる事項のうち市長が必要があると認めるものについて定めるものとする。
(1) 建築物等の規模、配置並びに外観の意匠、材料及び色彩に関する事項
(2) 土地の形質及び植生に関する事項
(3) 広告物に関する事項
(4) 前3号に掲げるもののほか、市長が都市景観の形成を図るために必要があると認める事項
3 市長は、地区景観形成基準を定めようとするときは、あらかじめ当該地区の住民その他関係者の意見を聴くとともに、第39条に規定する飯塚市都市景観審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、地区景観形成基準を定めたときは、これを告示しなければならない。
5 前2項の規定は、地区景観形成基準を変更する場合について準用する。
(景観形成地区内における行為の届出)
第14条 景観形成地区指定の告示があった日の翌日から景観形成地区内において次の各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、当該行為に係る規則で定める法令上の手続を行う日の30日前(法令上の手続を要しない行為にあっては、当該行為に着手する30日前)までに、その内容を市長に届け出なければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は屋根若しくは外壁面の色彩の変更
(2) 広告物の設置、改造、大規模な修繕若しくは移転又は広告物の表示の変更
(3) 宅地の造成、開墾その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採又は植栽
(5) 前各号に掲げるもののほか、都市景観の形成に影響を及ぼすと認められる行為
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2) 災害のために必要な応急措置として行う行為
(3) 都市計画事業(都市計画法(昭和43年法律第100号)第4条第15項に規定する都市計画事業をいう。以下同じ。)として行う行為及びこれに準ずる行為で規則で定めるもの
(4) 国、地方公共団体その他規則で定める者が行う行為
(地区景観形成計画及び地区景観形成基準との適合)
第15条 景観形成地区において、前条第1項各号のいずれかに該当する行為をしようとする者は、当該行為が当該地区に係る地区景観形成計画及び地区景観形成基準に適合するよう努めなければならない。
(地区景観形成基準に基づく助言及び指導)
第16条 市長は、第14条第1項の規定による届出があった場合において、その届出に係る行為が地区景観形成計画及び地区景観形成基準に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
(空地に係る助言及び指導)
第17条 市長は、景観形成地区内において、空地が当該地区の景観を阻害していると認めるときは、当該空地の所有者等に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
第3章 大規模建築物等
(大規模建築物等の新築等の届出)
第18条 景観形成地区の区域外において、都市景観の形成に大きな影響を与える建築物等で大規模なものとして規則で定めるもの(以下「大規模建築物等」という。)の新築、増築、改築、移転、除却、大規模な修繕若しくは模様替え又は屋根若しくは外壁の色彩の変更をしようとする者は、当該行為に係る法令上の手続を行う日の30日前(法令上の手続を要しない行為にあっては、当該行為に着手する日の30日前)までに、市長にその内容を届け出なければならない。
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
(2) 災害のために必要な応急措置として行う行為
(3) 都市計画事業として行う行為及びそれに準ずる行為で規則で定めるもの
(4) 国、地方公共団体その他の規則で定める者が行う行為
(助言及び指導)
第19条 市長は、前条第1項の届出に係る行為が都市景観基本計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、都市景観の形成を図るために必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
第4章 都市景観重要建築物等
(都市景観重要建築物等の指定)
第20条 市長は、都市景観の形成上必要な価値があると認める建築物等を都市景観重要建築物等として指定することができる。
3 市長は、第1項の指定をしたときは、その旨を告示するとともに所有者等に通知し、所有者等に規則で定める表示板を交付するものとする。
4 市長は、都市景観重要建築物等が都市景観の形成上の価値を失ったと認めるとき、又は公益上の理由その他特別な理由があるときは、第1項の指定を解除することができる。
6 市長は、第4項の規定による解除をしたときは、その旨を告示し、所有者等に対して通知しなければならない。
(都市景観重要建築物等の管理)
第21条 都市景観重要建築物等の所有者等は、当該都市景観重要建築物等を都市景観の形成が損なうことのないよう適切に管理しなければならない。
(現状変更等の届出)
第22条 都市景観重要建築物等の所有者等は、当該都市景観重要建築物等の現状を変更しようとするとき、又は当該都市景観重要建築物等の所有権その他の権利を移転し、若しくは消滅させようとするときは、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
2 前項の規定は、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては適用しない。
3 都市景観重要建築物等の所有者等は、当該建築物等が災害、事故等により都市景観の形成上の価値を失ったときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(助言及び指導)
第23条 市長は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為により都市景観重要建築物等の都市景観形成上の価値が損なわれると認めるときは、当該届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
第5章 緑の育成及び保全
(景観樹木又は景観樹林の指定)
第24条 市長は、都市景観の形成上重要な価値があると認める樹木若しくは樹林を景観樹木若しくは景観樹林(以下「景観樹木等」という。)として指定することができる。ただし、国、県又は市の指定した天然記念物等を除くものとする。
3 市長は、第1項の指定をしたときは、その旨を告示するとともに所有者等に通知し、所有者等に規則で定める表示板を交付するものとする。
4 市長は、景観樹木等が都市景観の形成上の価値を失ったと認めるとき、又は公益上の理由その他特別な理由があるときは、第1項の指定を解除することができる。
6 市長は、第4項の規定による解除をしたときは、その旨を告示し、所有者等に対して通知しなければならない。
(景観樹木等の管理)
第25条 景観樹木等の所有者等は、当該景観樹木等の健全な保全に努めなければならない。
(現状変更等の届出)
第26条 景観樹木等の所有者等は、当該景観樹木等の現状を変更しようとするとき、又は当該景観樹木等の所有権その他の権利を移転し、若しくは消滅しようとするときは、あらかじめその旨を市長に届け出なければならない。
2 前項の規定は、通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるものについては適用しない。
3 景観樹木等の所有者等は、当該景観樹木等が滅失、枯死等により都市景観の形成上の価値を失ったときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。
(助言及び指導)
第27条 市長は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る行為により景観樹木等の都市景観形成上の価値が損なわれると認めるときは、当該届出をした者に対し、都市景観の形成を図るため必要な措置を講ずるよう助言し、又は指導することができる。
(公共施設等の緑化等)
第28条 市長は、公共施設等の緑化その他緑の育成及び保全に関する事業の実施に努めるものとする。
(事業所の緑化)
第29条 事業者は、工場その他の事業所の敷地内において、樹木の植栽その他緑化の推進に努めなければならない。
2 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対し、事業所の緑化の推進に必要な助言又は指導をすることができる。
第6章 景観づくり協議会
(景観づくり協議会の認定)
第30条 市長は、一定の地区における都市景観の形成を図ることを目的として組織された団体で、次に掲げる要件に該当するものを景観づくり協議会として認定することができる。
(1) 当該地区内に存する土地及び建築物等の所有者等の多数で組織されていること。
(2) その活動が当該地区内に存する土地又は建築物等に関するものに限られること。
(3) その活動が財産権を不当に制限するものでないこと。
2 景観づくり協議会の認定を受けようとする団体は、規則で定めるところにより、市長に申請しなければならない。
3 市長は、景観づくり協議会が第1項各号に該当しなくなったと認めるとき、又は景観づくり協議会として適当でなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
(景観づくり提案)
第31条 景観づくり協議会は、当該地区の都市景観の形成に関する構想又は意見を景観づくり提案として市長に提出することができる。
2 市長は、都市景観の形成に関する施策の策定及び実施に当たっては、景観づくり提案に配慮するよう努めるものとする。
第7章 都市景観協定
(都市景観協定の締結)
第32条 一定の区域内の土地、建築物等又は広告物の所有者等は、その区域における都市景観の形成についての協定(以下「都市景観協定」という。)を締結することができる。
2 前項の都市景観協定は、規則に定める事項を定めるものとする。
(都市景観協定の認定)
第33条 都市景観協定を締結したものの代表者は、前条第2項に規定する事項を記載した都市景観協定書を市長に提出し、その認定を求めることができる。
2 市長は、前項の都市景観協定書を審査し、その内容が都市景観の形成に寄与するものであると認めたときは、これを認定することができる。
3 市長は、都市景観協定の廃止の届出が提出されたとき、又は都市景観協定として適当でなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。
第8章 表彰及び助成
(表彰)
第34条 市長は、第39条に規定する飯塚市都市景観審議会の意見を聴いて、優れた都市景観の形成に寄与していると認められる建築物等又は広告物その他物件の所有者、設計者、施工者その他関係者を表彰することができる。
2 市長は、第39条に規定する飯塚市都市景観審議会の意見を聴いて、都市景観の形成に関わる活動に貢献した者を表彰することができる。
3 前2項の表彰に関して必要な事項は、規則で定める。
(都市景観重要建築物等の保存に係る助成及び買取り)
第35条 市長は、都市景観重要建築物等の保存のために必要があると認めるときは、その所有者等に対し、技術的援助を行い、又はその保存に要する費用の一部を助成することができる。
2 都市景観重要建築物等の所有者等は、当該都市景観重要建築物等の市による買取りを希望するときは、市長に対し、その旨を申し出ることができる。
3 市長は、前項の申出があった場合において、都市景観重要建築物等の保存のために必要があると認めるときは、当該申出に係る都市景観重要建築物等を買い取ることができる。この場合において、優れた都市景観の保全上必要があると認めるときは、当該都市景観重要建築物等の敷地及びその周辺の土地を併せて買い取ることができる。
(緑の保全・育成に係る助成及び買取り)
第36条 市長は、景観樹木等の保全・育成のために必要があると認めるときは、その所有者等に対し、技術的援助を行い、又はその管理に要する費用の一部を助成することができる。
2 景観樹木等の所有者等は、当該景観樹木等の市による買取りを希望するときは、市長に対し、その旨を申し出ることができる。
3 市長は、前項の申出があった場合において、景観樹木等の保存のために必要があると認めるときは、当該申出に係る景観樹木等を買い取ることができる。この場合において、都市景観の形成上必要があると認めるときは、当該景観樹木等の敷地及びその周辺の土地を併せて買い取ることができる。
(景観づくり協議会に対する助成)
第37条 市長は、景観づくり協議会に対し、専門家の派遣若しくは技術的援助を行い、又はその活動に要する経費の一部を助成することができる。
(都市景観協定の締結者に対する助成)
第38条 市長は、都市景観協定を締結し、市長が認定した者に対し、専門家の派遣若しくは技術的援助を行い、又はその活動及び都市景観の形成のために必要な行為に要する経費の一部を助成することができる。
第9章 都市景観審議会
(都市景観審議会)
第39条 市長の諮問機関として、飯塚市都市景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、市長の諮問に応じ、都市景観の形成に関する事項について調査審議する。
3 審議会は、都市景観の形成に関する事項について、市長に意見を述べることができる。
4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第10章 雑則
(委任)
第40条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成18年3月26日から施行する。