○飯塚市中小企業振興基本条例
平成28年3月28日
飯塚市条例第15号
改正 H29―1
飯塚市は、江戸時代には長崎街道の宿場町として繁栄し、明治以降は石炭の町として栄えるなど古くから物流と文化交流の中心地として発展してきた。
国内の石炭産業が衰退してからは、新しい産業の創出に向けて工業団地の整備や企業誘致に努めると同時に、大学や産業支援機関の誘致を積極的に進めた結果、福岡県央地域の中心都市であるとともに、3つの大学を有する文化性・創造性を備えた情報産業都市、学園都市として、研究開発と産業振興の拠点が集積するまちとして変貌を遂げている。
その中にあって、本市の産業発展を支えてきた中核は中小企業であり、その経済活動による市民の雇用の確保、消費の活性化などの本市経済への寄与だけでなく、まちづくりや災害対応など、市民生活全般を支え地域社会に貢献する役割も果たしており、本市の発展と市民生活の向上をもたらす重要な担い手となってきた。
しかしながら、近年、グローバル化に伴う急激な経営環境の変化や少子高齢化に伴う国内市場規模の縮小など、中小企業を取り巻く状況は、厳しさを増している。
今後、社会及び経済構造が大きく変化する中で、中小企業は先人の知恵と技術を受け継ぎ、さらに発展させることにより、地域経済活性化に貢献する必要がある。
また、この中小企業の役割と重要性について、企業、行政、関係団体、金融機関、大学等及び市民が共通認識を持ち、その果たすべき役割を明らかにしながら、協働して本市の持続的な経済発展や豊かな地域社会の形成につなげていくことが必要である。
ここに、本市の中小企業の振興に向けた基本理念等を明らかにし、中小企業振興を本市の重要施策と位置づけ、社会が一体となって地域経済の活性化を図っていくため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、中小企業が本市経済の発展において果たす役割の重要性に鑑み、中小企業の振興の基本となる事項を定めることにより、中小企業の健全な発展を図り、もって地域経済の発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。
(1) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号。以下「法」という。)第2条第1項各号のいずれかに該当する者であって、市内に事務所若しくは事業所又は住所(以下「事業所等」という。)を有するものをいう。
(2) 小規模企業者 法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事業所等を有するものをいう。
(3) 関係団体 商工会議所、商工会、商店街振興組合、その他中小企業の振興に関連する団体のうち市内で活動するものをいう。
(4) 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融業を行うものをいう。
(5) 大企業者 中小企業者又は小規模企業者(以下「中小企業者等」という。)以外の企業者であって、市内に事業所等を有するものをいう。
(6) 大学等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する大学並びに中小企業の振興に係る研究及びその事業化の促進に取り組む機関をいう。
(基本理念)
第3条 中小企業の振興は、次に掲げる事項を基本理念として推進しなければならない。
(1) 中小企業者等の自らの創意工夫と、経営の改善及び向上(以下「経営改善等」という。)に対する自主的な努力を尊重すること。
(2) 経済的社会的環境の変化への円滑な適応を図り、地域特性に応じた総合的な振興施策を講じること。
(3) 市、中小企業者等、関係団体、金融機関、大企業者、大学等及び市民が連携し、協力の下に取り組まれること。
(施策の基本方針)
第4条 市は、前条の基本理念に基づき、次に掲げる事項を基本方針として、中小企業の振興に関する施策(以下「中小企業振興施策」という。)を実施するものとする。
(1) 中小企業者等の創業等の促進を図ること。
(2) 中小企業者等の経営基盤の強化の促進を図ること。
(3) 中小企業者等の新たな事業展開の促進を図ること。
(4) 地域資源を活用した事業の促進を図ること。
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
(市の責務)
第5条 市は、第3条の基本理念にのっとり、中小企業振興施策を総合的かつ計画的に実施するものとする。
2 市は、中小企業振興施策を実施するに当たっては、国、県その他関係地方公共団体、中小企業者等、関係団体、金融機関、大企業者、大学等及び市民と協力して、効果的に実施するよう努めるものとする。
3 市は、工事の発注並びに物品及び役務の調達等を行うに当たっては、予算の適正な執行、透明かつ公正な競争及び契約の適正な履行を確保しつつ、中小企業者等の受注機会の増大に努めるものとする。
4 市は、中小企業の振興を推進するため、積極的に情報を収集し、その提供に努めるものとする。
(中小企業者等の役割)
第6条 中小企業者等は、経営改善等に自主的かつ積極的に努めるものとする。
2 中小企業者等は、地域社会を構成する一員としての社会的責任を自覚し、地域社会との調和を図り、より良い地域社会の実現に貢献するよう努めるとともに、環境との調和に配慮するものとする。
3 中小企業者等は、人材の育成、雇用環境の充実を図り、従業員の働きやすい職場環境の整備に努めるものとする。
4 中小企業者等は、関係団体に加入するように努めるとともに、市及び関係団体が実施する中小企業振興施策に積極的に協力するものとする。
(H29―1一改)
(関係団体の役割)
第7条 関係団体は、中小企業者等の事業活動を支援するに当たっては、中小企業者等とともに、第3条の基本理念の実現に取り組むよう努めるものとする。
(金融機関の役割)
第8条 金融機関は、円滑な資金提供並びに経営に関する相談及び助言を行うことにより、中小企業者等の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
(大企業者の役割)
第9条 大企業者は、中小企業の振興が本市経済の発展に果たす役割の重要性を理解し、中小企業者等との連携及び協力を推進するとともに、市及び関係団体が実施する中小企業振興施策に協力するよう努めるものとする。
(大学等の役割)
第10条 大学等は、産学官の連携による取組が中小企業の振興にとって重要であることに鑑み、中小企業者等が基本理念に基づいて取り組む事業活動への協力、人材の育成並びに研究及びその成果の普及に努めるものとする。
(市民の理解及び協力)
第11条 市民は、中小企業の振興が本市経済の発展及び市民生活の向上に果たす役割の重要性を理解し、中小企業の健全な発展に協力するよう努めるものとする。
(中小企業振興円卓会議)
第12条 本条例に掲げる目的達成に向けて、中小企業者等、関係団体、学識経験者、金融機関、消費者その他の多様な構成員により、飯塚市中小企業振興円卓会議(以下「円卓会議」という。)を設置する。
2 円卓会議は、次に掲げる事項に取り組むものとする。
(1) 中小企業振興施策について審議し、必要に応じて、調査及び研究を行うこと。
(2) 効果的かつ実効性のある振興施策については、市長に提案するとともに、検証を行うこと。
3 円卓会議には、必要に応じて小委員会を設置することができる。
4 市長は、円卓会議において、中小企業振興施策の実施状況を報告するものとする。
(H29―1全改)
(財政上の措置)
第13条 市は、中小企業振興施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(実施状況の公表)
第14条 市長は、毎年度、中小企業振興施策の実施状況を取りまとめ、公表するものとする。
(条例の見直し)
第15条 市長は、一定期間ごとに、必要に応じて条例の見直しを行うものとする。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
附則(平成29年3月28日 条例第1号)
この条例は、平成29年4月1から施行する。